神社の静けさ
毎週木曜日は郊外へ仕事に行く。住宅街の裏道の途中に神社がある。実は20年前くらいからその前を通ってはいたのだけれど、一度も足を踏み入れたことはなかった。
きっかけは2年前の夏、駅の階段を下りたところで、足が足りなくて動けないクワガタを見つけたことだった。とっさに植え込みに置いたけど、やっぱり気になって、神社に連れて行くことにした。
ただ階段を上っただけなのに、そこは別世界のような静けさ。朝の慌ただしさからは無縁の空気が心地よかった。鬱蒼とした木々の中にクワガタを放し、お参りして仕事へ向かった。
その日からこの場所に毎週訪れるようになった。ほんのひと時だけれど自然と自分と静かに向き合える時間。草花に四季の移ろいを感じたり、木々のざわめきや鳥の声に耳をすましたり。
土地柄もあって、空を見上げていると、やっぱり神が宿るところなんだなと思ったりもする。
今日は雨上がり。鮮やかなアジサイが出迎えてくれた。それから、初めてみる細〜いカタツムリ。